ベルベリン(Berberine)と呼ばれる天然成分のサプリメントをご存知ですか?
血糖値を下げたり、減量を助けてくれたり、心臓の機能を改善したり、分子レベルで体にパワフルな影響を与えてくれる成分だと言われています。
ベルベリンは、医薬品と同等の効果が認められた数少ないサプリメントの1つで、海外ではとても人気があります。
ベルベリンとは?
ベルベリンは、メギ科の低木類、ミカン科のキハダ、キンポウゲ科のオウレンなど、いくつかの異なる植物から抽出した化合物で、中国の伝統的な漢方医学で使用されてきた長い歴史があります。
主に、インスリン抵抗性を下げるためや、空腹時血糖や糖化ヘモグロビンなどの2型糖尿病のバイオマーカーの向上を期待されています。
どのような働きをする?
インスリンシグナルを負に制御するとされるPTP1B(Protein-Tyrosine Phosphatase 1B)の作用を抑制する一方で、細胞内のエネルギーのセンサーとして重要な役割を担っているAMPK(AMP-activated protein kinase)と呼ばれる酵素を活性化して、インスリン感受性を向上させます。
つまり、シグナル伝達を抑制する物質の働きを抑える一方で、燃料センサーと呼ばれる酵素を活性化して、インスリン抵抗性を改善すると言われています。
また、免疫細胞のひとつであるB細胞を保護したり、肝臓での糖新生を調整したり、炎症性サイトカインのシグナル伝達を弱める働きがあるとされています。
血糖値を下げてくれるかも
近年、生活習慣と社会環境の変化に伴って患者が急増していると言われている2型糖尿病。失明や脳卒中などの深刻な合併症を引き起こすことがある、とても危険な病気です。
糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えることで引き起こります。インスリンが十分に働かない理由として、インスリンの分泌低下とインスリンの抵抗性に分けられます。
多くの研究によって、ベルベリンは糖尿病患者の血糖値を下げることがわかっています。
ヒトや動物を用いた研究をしたところ、ベルベリン1,500mg(500mgを3回に分けて服用)は、2型糖尿病の治療で使われるメトホルミン1,500mg、または血糖降下剤のグリベンクラミド4mgに相当する可能性があるとされています。
この効果は、2型糖尿病のバイオマーカーをどれほど減少させたかによって測定されたものです。
しかし、2型糖尿病のバイオマーカーを減らすベルベリンの強力な効果を示す研究はたくさんあるものの、それでもなお、他のたくさんの医薬品よりは、研究によって証拠立てされていないのが現状です。
死亡率や合併症に対する長期的な影響がどのようなものなのか、明らかになっていないことにも注目する必要があります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状を改善できるかも
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、排卵障害の一つで、妊娠が可能な年齢の女性の約5〜10%にみられる、実はよくある病気です。
一般的な不妊症の原因にもなっているこの病気は、原因はまだはっきりわかっていないものの、近年インスリン抵抗性などの異常と深く関わっていることがわかってきており、最大で80%ものPCOS患者がインスリン抵抗性を持っているとされています。
インスリンの感受性を高めてくれるとされるベルベリンを摂取することによって、それらの正常な働きを助け、多嚢胞性卵巣症候群の症状の改善が期待されています。
中性脂肪やLDLコレステロールを下げ、脳梗塞や心臓病のリスクを下げてくれるかも
中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロールが高いと、動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気に繋がります。
いくつかの研究によると、ベリベリンは、PCSK9というLDLコレステロールの増加因子を阻害し、LDLコレステロール値を下げる可能性があることがわかりました。
同様に、ベルベリンは中性脂肪の値も下げる可能性があることがわかっています。
またさらに、それだけではなく、ベルベリンは善玉(HDL)コレステロールを増やしてくれるとされており、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを低下させることに期待されています。
ベルベリンのデメリットは?
ベルベリンには強力な効果があるとされるだけに、摂取する際は他の薬との相互作用する可能性を考慮する必要があります。
中には、深刻な影響を及ぼす可能性があるとされているため、日頃から薬を飲んでいる方は、特に注意が必要です。
サプリメントとして通常の量の摂取であれば、一般的に安全であると言われていますが、さらに長期の研究が必要と言われているのが現状です。
また、大量に摂取すると、胃腸に障害が発生するリスクや低血糖のリスクを高めてしまう可能性が少なからずあるようなので、注意しましょう。